建設業界は、資格を持っていたり、経験者だったりすると、転職が容易です。
現場監督などは行う仕事がどこの会社でも同じなので、転職するデメリットが小さい。
よって建設業界の中での転職者が多い。

そこで必要になる対策は、次のようなものです。

対策① 中途採用者の初任給決める基準がほしい

求人をしていて履歴書が来るのは喜びです。でも、次に出る疑問符は「初任給の決定」ではないでしょうか? 例えば次のような応募者がいたとします。

「30歳 高卒 一級建築施工管理技士 子供1人」
「30歳 大卒 一級建築施工管理技士 独身」

 頭を悩ます点はいろいろあります。
 Q 基本給をどう決めるのか? 年齢や学歴が異なっている。
 Q 資格手当をどう決めるのか? 
 Q 家族手当をどう決めるのか?

 やってはならない事例を挙げてみましょう。

「30歳 高卒 一級建築施工管理技士 子供1人」 基本給25万円
「30歳 大卒 一級建築施工管理技士 独身」 基本給27万円

両者で異なっているのは学歴です。上記のようなやり方は学歴差別です。筆者に言わせれば、学歴はあまり意味を持ちません。特に建設業界ではなおさらです。
建設会社は、建設業界ならではの初任給決定の基準をあらかじめ作っておいた方がいい。

対策② 既存の社員とのバランスを維持したい

中途採用をするのはいいですが、既存社員との給与のバランスの維持も必要です。先輩後輩とのバランスが崩れると不満が出がち。

やってはならない事例を挙げてみましょう。

「勤務年数0年 30歳 大卒 一級建築施工管理技士」 基本給27万円
「勤務年数8年 30歳 大卒 一級建築施工管理技士」 基本給27万円

両者は年齢も学歴も資格も同じですが、勤務年数が違う。これではずっと勤続してきた甲斐がない。
建設会社は、建設業界ならではの初任給決定の基準をあらかじめ作っておいた方がいい。

対策③ 離職防止対策

建設会社は、同業者から技術者が移ってきてもらうのはありがたいが、逆にヨソに出ていかれると困ってしまいます。そこで同業他社に移った場合のペナルティーも作っておいた方が良い。
離職防止策はいろいろありますが、そのうちの一つは退職金規程の作り方。

やってはならない事例を挙げてみましょう。

 ×「退職金は、中小企業退職金共済から支給された額とする」

このような退職金規程を設けている建設会社は、今でもあるようですが、筆者からすれば考えもの。
だって、どんな辞め方をしても退職金が出るわけですから、これでは離職防止になりません。

筆者ならば、建設会社に対して次のような退職金規程を提案したい。

○「退職金は、定年退職金の場合はA表、自己都合退職金はB表を適用する」
○「事前に○カ月前に申し出ることなく辞めた場合は、減額する」
○「退職金の準備のため中小企業退職金共済に加入する」

このようにしておけば、辞め方まで反映することができます。短期の離職防止にもつながるはずです。

北見式賃金研究所が、建設業の給与に的を絞って給与調査を行っています。
次のページもご覧いただければ幸いです。

次のような内容です。

  • 建設業 技術者の賃金相場はいくらか? 実態調査へ
  • 1級建築士の賃金相場はいくらか? 実態調査へ
  • 現場監督(1級建築施工管理技士)の賃金相場はいくらか? 実態調査へ
  • 現場監督(1級土木施工管理技士)の賃金相場はいくらか? 実態調査へ
  • 測量士の賃金相場はいくらか? 実態調査へ
  • 電気工事士の賃金相場はいくらか? 実態調査へ
  • 建設関連業界の主な資格別 賃金相場はいくらか? 実態調査へ